2022.03.16 13:34「孫子」第40回 第6章 「管理論」(10)第9節 マネジメント上の失策軍事的指導者によるマネジメント上の失策によって組織が崩壊していくとき、それが何に起因してどのような崩壊の流れを辿るかなど、孫武は6つにわけて論じている。「故に、兵には、走る者有り、弛む者有り、陥る者あり、崩るる者有り、乱るる者有り、北ぐる者有り。凡そ此...
2022.03.16 13:18「孫子」第39回 第6章 「管理論」(9)第8節 厳格な管理法・マネジメント手法「孫子」が「不戦屈敵」を軸としながらも、それが不成立の場合は「用戦屈敵」を行使するといった哲学を持っているとこれまでに何度か述べてきた。そして、「用戦屈敵」を効果的に実行するため、マネジメントの在り方にいろいろな工夫を施すことについても触れて...
2022.03.15 12:54「孫子」第38回 第6章 「管理論」(8)「孫子」は先に触れたように「信賞必罰」を平素から組織マネジメントに取り入れることを提起する一方で、有事の際にはそれに限界があることも踏まえていた。また、「信賞必罰」に加えて将兵の仕事や任務に対する「やりがい」についても配慮するべきだと説いた。「孫子」の時代と現代を比べれば、一般的...
2022.03.15 12:47「孫子」第37回 第6章 「管理論」(7)第7節 マネジメントと接遇「孫子」が説く組織マネジメントと部下への接遇スタンスを簡潔にいえば、「アメとムチ」の巧みな運用ということになる。孫武は部下を「嬰児・愛子」(赤ん坊や可愛らしい我が子)のように労わらなければならないが、度が過ぎれば「驕子」(わがまま放題の子)になってしまう...
2022.03.14 11:54「孫子」第36回 第6章 「管理論」(6)「孫子」はスパイの分類を「五間」として5種類に分けて考えたが、その情報活動に際しては偏見や予断を排し、範囲を拡げてそれにあたるべきだとし、物事の表裏を含めて考察するものとして次のようにいう。「智者の慮(おもんばかり)は必ず利害を雑(まじ)う。利に雑えて而して務めは信なる可きなり。...
2022.03.14 11:46「孫子」第35回 第6章 「管理論」(5)第6節 状況判断の仕方「孫子」が生み出された時代、国家はそれぞれが直面する重要な問題を、君主、重臣、将軍が一堂に会する場で議論の限りを尽くし決定を行ったとされる。会議に際しては、君主の祖先を祀る祖廟を詣でて事態をまず報告し、それから議論を始めるのが慣例であった。これは君主、重臣、...
2022.03.13 13:55「孫子」第34回 第6章 「管理論」(4)第5節 組織化と統制の手段「孫子」の勢篇冒頭に次の文がある。「衆を治むること寡を治むるが如くなるは、分数是れなり。衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くなるは、形名是れなり」(勢篇)(訳:多数の兵士を治めるのに、少人数の兵士を治めるように整然とできるのは、巧みな組織化のおかげであ...
2022.03.13 13:50「孫子」第33回 第6章 「管理論」(3)第4節 管理者の資質「孫子」が最高責任者である政治指導者の持たねばならない資質として挙げるのは、計篇「五事」の筆頭にある「道」であり、「七計」の筆頭の「主孰れか賢なるや」である。なお、『竹簡孫子』においては「主孰れか賢なるや」となっているが、『今文孫子』(魏の曹操が注釈を入れた孫...
2022.03.12 14:44「孫子」第32回 第6章 「管理論」(2)第3節 マネジメント層の責任と権限「戦力論」で静的戦力について考察したが、そこでは静的戦力を構成する要素として「五事」挙げた。そのなかの第1項が「道」、第4項が「将」となっており、「五事」に続く「七計」の第1項は「主孰れか賢なるや」、第2項は「将孰れか能あるや」であった。これらは...
2022.03.12 13:30「孫子」第31回 第6章 「管理論」(1)第1節 概 説「孫子」は組織管理やマネジメントの在り方を広く深く言及しているところに1つの特徴がある。本章ではこの問題にフォーカスしていきたい。組織管理やマネジメント能力は戦力を構成する要素の1つであり、戦略、戦術が持つ政治目的・行動目的を達成するためにも欠かすことができない。こ...
2022.03.11 12:21「孫子」第30回 第5章 「戦術論」(9)「孫子」は現代でいう合理性を重んじ、それを全体に反映している。合理性から在るべき姿を追求すると理想主義的側面が強く押し出され、同時に、合理性から出来る限りのことを追求すると現実主義的な側面が色濃く出てくる。これらを幅広く含むのが「孫子」の特徴である。部隊に勇気を伝播させ団結を高め...
2022.03.11 07:18「孫子」第29回 第5章 「戦術論」(8)第6節 斉勇若一 超人的力の活用孫武はこれまでに述べてきたように、「不戦屈敵」を基本とし、「用戦屈敵」に至るにしても「已に敗るる者に勝つ」(形篇)、「勝ち易きに勝つ」(形篇)といった戦い方を追求する。相対的な優劣が戦いを左右することから、味方が優、敵が劣となるための方法・手段を全...